Vol.7 理想的なマイホーム取得の流れって?
最近住宅購入のご相談をお受けする機会が増えてきましたが、世の中には、何となく物件を見てしまって、その勢いで住宅の衝動買いをしてしまっている人が多いような気がします。自分の貯蓄や長期的な住宅ローンの返済まで検証せずに話を進めてしまい、後から資金繰りや住宅ローンの返済で問題点を発見してしまうケースもよく見受けられます。
そこで、今回は、人生における重要なイベントであるマイホーム取得に安心して取り組めるポイントを整理してみました。
住宅はモデルルームなどに足を運ぶとやはり欲しくなるもの。供給側も欲しいという気持ちを引き出すように工夫していると思います。私自身も住宅取得と住み替えを経験していますが、最初に自分の人生でマイホームに求めるものとマイホームが必要になる時期を検討するのとしないのとでは、取得後の満足度に大きな影響を与えると思います。
マイホームを家族の拠点とするのか、仕事などでの移動に便利な空間とするのかなど、求めるものの優先順位は人それぞれ、また、子供や転勤など家族の状況に合わせて保有したい時期も変わってくるでしょう。マイホームに求める目的の違いによって、場所や広さ、間取り、一戸建てかマンションかなども変わり、それによって当然、予算も変わってきます。
そこで、理想的なマイホーム取得の流れを図にしてみました。
マイホームを所有する目的がはっきりし、おおよその予算や取得目標となる時期が見えたら、今の貯蓄をもとに毎年の貯蓄計画を立てていきます。預貯金や住宅財形、個人向け国債など安全重視の金融商品がその候補になるでしょう。場合よっては、親からの資金援助が可能かどうかを検討するのもこの時期です。
実は、一口に一戸建てといっても、注文住宅と建売住宅や中古住宅では、資金計画に大きな違いがあります。
先日ご相談に来られたお客様は、預貯金1000万円あれば、住宅ローンを組んで、土地を購入して注文住宅を建築できると思っていたのですが、土地や建物の手付金、建物の中間金、そして諸費用が発生することから、資金繰りが厳しいことがわかり、急遽、分譲住宅や中古物件も選択肢に入れることに方針転換しました。土地からの購入の場合は、土地先行融資を行う住宅ローンが限られているので(フラット35は土地先行融資がなく、建物の引渡し後の決済)、期待どおりの住宅ローンがなく、返済負担が大きくなる可能性すらあるのです。
このように、物件の予算のみでなく、欲しい物件のタイプ(注文住宅か建売住宅・中古住宅など)によって、必要となる自己資金も変わってきます。また、図のように物件のタイプによって経由する業者も異なるので、最初に資金計画をしっかり立てて、購入できる物件タイプを絞り込んで業者を選ぶことも大切なポイントだと思います。
不動産業者によっては、提携金融機関があり、住宅ローンの手続きも一手に引き受けているところも多くあります。しかし、業者さんにとっては、いち早く確実に住宅を売ることが第一の目標です。お客様の何十年にわたる住宅ローンの返済総額などまで時間をかけてコンサルティングする余裕はほとんどないといえるでしょう。
しかし、住宅ローンで金利条件などの良い商品を選べば、同じ物件でも購入コストを抑えられるので、最初の選択肢があるうちにきちんと住宅ローンを検証して選ぶべきだと私は思います。物件価額とその物件を購入するのにかかるトータルのコスト(自己資金+住宅ローン総返済額)が大きく異なる場合もあるからです。
「夢のマイホームを目的に合わせて取得し、その手段として選んだ住宅ローンも自分に合った返済額で無駄な利息を抑えてリーズナブルに返しきる!」これが、理想的な住宅取得ではないかと思っています。
・住宅の衝動買いは危険。購入後にやり直しはきかないので、きちんと物件予算と購入コスト(貯蓄や住宅ローン)を検証しながらプランを立てることが大事。
・そのためにまず最初にマイホーム取得の目的・欲しい時期を明確にして、物件のタイプや予算の目安を決めよう。
・物件のタイプによって、資金繰りが変わってくるので、自己資金の余裕度も合わせて物件選びをしよう。
・住宅ローンは、物件の購入コストを抑える切り札。成り行き任せにせず、しっかりと選ぶことが賢いマイホーム取得の秘訣。
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