Vol.9 意外にかかる!?注文住宅の自己資金
「1000万円預貯金を貯めたし、自分たちのマイホームを設計からつくっていきたい!」そんな希望をよく耳にします。確かに、物件価額(土地と建物建築費予算合計)の2割以上の自己資金を準備しているのは偉いと思います。しかし、実際に土地を購入して建物を建築する場合は、建売住宅と違い、下記の図表のようになんと1000万円の自己資金があっても足りない例が多いのです。
下記の図表のように、建物を設計して建築する場合は、例えば、
・最初の契約時の手付金として、約100万円
・設計料として建築費の1~2割
・そして、建物建築請負契約に伴う工事代金の一部の前払金(着手金)として建築費の約1~2割
がかかるケースが多くみられます。これらは預貯金から捻出する必要がある部分です。
・更に、業者によっては、上棟式などの節目で中間金として工事代金の2割~4割など、あるいは出来高払いでその都度支払いを求める
といったケースもあります。
その結果、仮に建物の予算1500万円の場合でも、建物に関してだけで850万円もの預貯金が必要になってくるといえます。これに土地の手付金や諸費用を含めると、自己資金1000万円では足りなくなってしまいますよね。やはり、注文住宅の場合は、物件価額の2割ではなく、4割くらいは自己資金を確保しておきたいところです。
また、自己資金がある方でも、土地の購入に預貯金の多くを使ってしまったという例も多く見られます。でも、最初の土地代の支払いで預貯金がなくなってしまったら、先にあげた建物に関する必要資金の捻出ができず、資金繰りが厳しくなってしまいますよね。
建築中に資金に追われて不安な思いをする前に、まず必要なことは、手付金や中間金などの現金支払いと諸費用について、いつの時点でいくらくらい必要になるのか、資金計画を念入りに立てることが第一といえます。
そして、預貯金の使い方としては、土地の購入時に使い果たしてしまうのではなく、土地購入時から住宅ローンを上手に活用することも大きなポイントです。
通常、住宅ローンは住宅を担保に融資をするものなので、土地に建物が建って初めて融資がなされるのが基本で、公庫融資やフラット35、財形住宅融資はその典型例です。しかし、土地を購入する場合は、図のように建物建築前に土地の決済が必要になってくるので、預貯金をあてたり、つなぎ融資を使ったりという方法で多くの人が資金繰りに悩んでいるのが実際です。
民間金融機関の住宅ローンには、土地に建物が建つという条件で、土地取得のために先行して融資をしてくれるケースも多く、いわゆる土地先行融資と建物竣工後の融資との2本建てで利用するプランなら、途中の資金繰りの不安を解消できるといえます。
土地購入に対して借入額が多くなると、それだけ金利負担も増えるので、先ほど触れたように預貯金を土地購入時に使ってしまう人も多いようです。しかし、建物に建築中に追加で資金が必要になることはよくあること。納得のいくマイホーム取得のためには、まず途中の資金繰りに少しでも余裕を持たせることが大切で、場合によっては、土地融資分を多めに利用し、最終的に建物についての借入額を少なめにするという方法も賢明な方法です。
最近は、民間の住宅ローンにも長期固定金利タイプが増えてきたので、土地先行融資として長期固定金利タイプを利用し、その後の建物分は借入金額や金利水準に応じて、長期固定金利にこだわらずに5年固定、10年固定などの金利タイプを組み合わせる方法も効果的でしょう。
・土地購入&注文住宅を建てるには、途中で資金が必要なので、物件予算の4割程度を目標に自己資金を準備したい。
・建物建築中に必要な現金を確認し、預貯金を土地購入時に使い果たさないように資金計画を立てることが大切。
・建築期間中も資金繰りに余裕を持てるために、民間金融機関の土地先行融資を活用したほうが安心。
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