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Vol.16 頭金ゼロで住宅購入した後の思わぬ落とし穴

 一般的なセオリーでは、頭金は物件価額の2割といわれていますが、正直なところ、実際に頭金ゼロでも住宅を購入することはできます。そして、頭金ゼロで、諸費用分まで住宅ローンを借りて住宅購入したという事例も多く見てきました。

 しかし、購入当初は意識していなくても、住宅ローンは何十年もの返済が必要なので、途中で少しでも金利節約をしたいなど見直しを考えることもあるでしょう。今回は、頭金ゼロで購入した人が後で直面した思わぬ落とし穴について、ご紹介したいと思います。

■頭金ゼロでは、公庫やフラットは利用できず、民間の住宅ローンから選択

 以前、年収が比較的高い人ですが、消費癖があり貯蓄が十分になくて、頭金ゼロでかつ諸費用分まで借りてマンションを購入していたケースがありました。物件価額は4700万円で、住宅ローンは物件価額に諸費用を上乗せした4850万円を借り入れしたという内容です。当時、頭金がゼロの状態では、公庫やフラット35は借りられず、借りていたのは民間の2年固定の住宅ローンでした。そろそろ2年が経過して、金利も見直されるので、より条件の良い住宅ローンへ借換えをしたいというご相談に来られましたが、この方はその後、どのような問題に直面したのでしょうか?

■有利な住宅ローンほど審査が厳しく、担保割れで借換えがしにくいことも

 その方は、知名度の高い会社にお勤めで、年収も1000万円近くあり、返済能力という面では問題なさそうなので、金利の節約目的で、より金利条件の有利な住宅ローンへの借換えを検討しました。条件的に一番有利な住宅ローンを比較して、金融機関へ書類を出して審査結果を待ったところ、借換え希望額が4600万円台で当初からあまり減っておらず、物件の担保評価(図参照:購入時の担保評価は物件価額の8割が一般的といわれる)をはるかに超えていたので、残念ながら融資の承認がおりなかったのです。

 特に金利条件などで優位性を出していない金融機関なら、そこまで審査は厳しくなかったかもしれません。しかし、金利優遇など有利な条件でお金を貸すということは、それだけ銀行も年収および担保評価などの基準を厳しくせざるを得ないのだろうと私も感じました。

 承認がおりなかったという事実は、誰にとっても非常にショックなことだと思います。ただ、最初に担保評価以上の借入をしたこと、そして購入後も貯蓄が貯まっていなかったために、借入元金を減らせなかったのは大きな問題だったのです。

■購入後に貯蓄を増やしていれば、まだ対応できたが・・・

 仮に頭金ゼロで住宅ローンを目一杯借りても、その後にしっかりと貯蓄を増やせていれば、より良い内容の住宅ローンが登場した際にすぐに借換えするなどの選択肢を増やすことができます。しかし、頭金ゼロで住宅購入をしてしまった人の実際の家計収支は、広い部屋になった分、光熱費がかさんだり、物が増えたりと、やはり貯蓄できないままという方が多いように思います。よって、頭金ゼロで購入した人はなおのこと、住宅購入後の収支を楽観視することなく、気持ちを改めてお金の管理をして貯蓄を増やしていくことが非常に大切だと思います。

■金融機関によって審査基準は異なり、借換えは何度でもトライできる

 先ほどの承認がおりなかったというケースですが、実はあきらめずに、再度借換えにトライした結果、住宅ローンの見直し実行までこぎつけることができました。どのように解決したかというと、年収が多い人なので、気を引き締めてボーナスに手をつけないようにして貯蓄を少しでも増やし、借換え希望額を落としてみました。そして金利条件などは現状より有利で、かつ担保評価に関する審査基準が多少緩いと思われる金融機関にトライしたのです。

 こうして、少しでも金利の節約に向けて住宅ローンの借換えが実現しましたが、この方は、担保割れでも、勤務先や年収面が安定していたのが救いでした。もしも、転職・独立開業、年収ダウンしていれば、借換えは厳しく、従来の比較的高い金利の住宅ローンのまま、繰上返済などで利息を節約するしか手立てはなくなってしまうでしょう。

■住宅ローンをコントロールできるようにしておくことが安心のツボ

 このように、頭金がなくでも住宅購入はできますが、住宅ローンを将来にわたってコントロールするという視点では、かなり選択肢を狭めてしまうことは、知っておいていただきたいと思います。

 住宅ローンを返済期間中も見直すなどしてコントロールできるようにするには、借入額を担保評価以上にしないこと、つまり貯蓄を準備して借入額をいつでも減らせるようにしておくことが大切だと思います。

今回のポイント

・頭金ゼロでも住宅は購入できるが、担保評価を超えた借入額でスタートすると、担保割れのため借換えの選択肢が減ってしまう。

・頭金ゼロで購入しても、担保評価額以内にまで借入元金を減らせるよう、貯蓄を増やすことができれば、借換えなどで住宅ローンをコントロールできるようになる。

・今まで貯蓄できず頭金が準備できなかった人が、住宅購入後に貯蓄を増やすことは、そう簡単なことではない。しっかりと気を入れ替えて家計管理を心がけることが必要。

STコンサルティング(有) 吹田朝子

マネー
投資・運用生命保険自動車保険ローンクレジットカードキャッシングソニーグループ


2006-02-28 11:54  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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